ある日の出来事
トーベンのチャボ家訪問記

私がチャボ家を訪問したのは、あれはたしかある春の暖かい日であった。

3月3日のクロコダイル狂乱の夜を一緒に体験してしまった私たちは

再開を約束し、そして今、小川銀次も含めて一路チャボ家へと向かったのでした。

黒いネコちゃんの歓迎を受けた我々はさっそくある中天国へと入り込み

リハーサルを終えたチャボがまもなくピースサインを連発しながら帰ってきた。

そこではクロコダイルのビデオが放映され、チャボじゃ自分のシーンを

何度もリピートし、人の失敗をののしり笑い。

盛り上がるうちに私もつい

『チャボのギターはリードになるとみんな”雨上がりの夜空”じゃねーか』

と逆襲し、そこに銀次も加わって大音楽論へと発展し

空手チョップが飛びかったのです。

そのうちチャボの目がトーゲンキョー

私たちもHappyなうちにその幕をとじたのでした

CONCERT REPORT
by タニヘイ

今日は、私めの大尊敬する、ROCK界の長老。

遂に日本初登場!!!!

キンクスのコンサート見聞録だぜ。

なにしろ奴ら結成に関してはストーンズより早く、しかも、

一度もメンバーチェンジもないというからさあお立会い。

私めも’67に出た最初のライヴから一応キンクスフリーク。

一度でいいから、レイデイビス(Vo)の色っぽい仕草を見たい

と興奮を抑えつつ日本青年館に出向いたワケなのだ。

同伴者のトーベンと無駄口を抑えているうちにチケットを手に

入れてくれたSOGO企画に荻原少年という小倉生まれのやくざ男と

近頃結婚しましてシャンプーのCMなんかでちゃらちゃらしている

竹内まりや嬢が待ち合わせ場所にやってきて「さて入りましょう」ということに。

30分ほど送れて客電が落ちると、何となく場内もソワソワ。

そして、SEが流れてきた。よく効くとそれは過去のキンクスの曲を

ずたずたに切って勝手につなぎ合わせたものだとわかった。

なるほど、聞き覚えのある曲が矢継ぎ早に駆け回る。

そうするうちに、後ろにある、赤・青・黄の3色スポットが会場を

グリングリンする

「ワァー、これだけでも結構きれいだね」

と思っているうちに、いつの間にかメンバーが出てきてる

前方の客はもう完全に桃源郷、うしろから見ていても目が

バンザイしていつのがよくわかる。

かく言う私めも、気がつかないうちに嬉目と

不信目の間を漂う、不気味な視線を空中に投げかけていた。

「おお!!」長島引退以来の、Jガイルスバンド以来の

美女対談以来の興奮。

あの、レイニデイビスが赤いジャケットに身を包み

僕らに手を差し伸べているのではないか。

これだけで私めも簡単に桃源郷に入り随喜目となってしまった。

そひて、”ハードウェイ”という曲から始まったキンクスのステージ

はすごくいかしたRock'n Roll show

”ローバジェット”でいつの間にか手拍子をしていて

”プレッシャー”や”スーパーマン”で腕を突き出している。

ふと我に返って隣を見ると、トーベンはもう笑いが止まらない風。

懐かしい”オール・オザ・ナイト”が始まった途端にその多幸症は

ピークとなり、”ツイスト&シャウト”ではついに白目をむいて

泡を吹いていた。

かくいう、我輩も、あの生ギターのイントロが鳴っただけで

「ギャー!!」と一声叫んで泣いていた。

あの名曲”ローラ”である。

もちろん、一緒に「ローラ!!」をコーラスしましたね。思わず!

それでも、場内の半分くらいのお客様はあんまりキンクスを

知らないらしく、今ひとつ盛り上がれない様子。

しかし、アンコールで、9階裏サヨナラ満塁逆転ホームランの

”ユーリアリーガットミー”では1階・2階全員総立ち

世界は我々のためにありました。

てなわけで、青年館の外へ出ると、会場から、ため息みたいに

人が続々と出てくる。

久々の良質のコンサートは、あまりにも仕掛けの少ない

素朴でとってもダイレクトなRock’n Roll showだった。

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